続々・お米の話
昨年来、お米の値段が高騰を続け『卸が流通を止めて値をあげているのではないか?』 といったマスコミの論調が目立ちます。が、果たして本当なのでしょうか。
実際は、卸においても小売においてもお米が無くて困っていいるのではないでしょうか。
じつは国内のお米の生産量は720万dほど。
もっぱら10月に収穫されて翌年の9月まで低温貯蔵しながら食べつないでいます。
その間、米の消費量は月平均でいうとおよそ60万dです。貯蔵は玄米や籾でおこなうので、それを精米して袋詰めして小売店に並べるのは毎月60万dが国内の設備面からは精一杯になっています。
さて、この720万dが需要に見合った妥当な数量であったかどうかを見るのは、6月末の市中在庫量で判断できます。
6月末なら残りの7、8、9月分の消費に加え、10月の新米切り替えまでのつなぎを加えた200万dが適正な在庫水準ということになります。
これまで毎年の6月末在庫は170万dから200万dで推移してきています。ところが一昨年の6月末は153万dまで下がっています。どうも食べすぎて足りない状態になっているのです。
この時に米不足を感じていたのは一部の卸だけでした。およそ40万dほどの不足が見込まれましたが、10月分のつなぎ在庫を先食いすることで米不足の顕在化は抑えられました。
ですが、その先食いした不足分はつぎの年、すなわち昨年に持ち越されているので米不足が表面化するのは時間の問題でした。
案の定、昨年6月の市中在庫は115 万dにまで減り、前年同期にくらべて40万dほど足りません。つまり一昨年に比べて80万dが足りないのです。
さすがに、この段階に来ると米不足は流通関係者に共有されて一斉に産地を訪れ米の確保に走ったのです。
のちに判明したところによると、長年減り続けてきた米の消費が反転して14万dの需要増になっていたほか、国の需要見込みも24万d低めに設定していたのです。
つまり、40万dの米不足は国の需要の見込みが違っていたことによるものでした。その見込み違いの原因の一つにはインバウンドによる米の需要の伸びがありました。
ただ問題は、国の需要見込みが単なる予測で終わるのではなく、その予測をもとに生産現場では米生産量が決まることです。
需要に応じた米の生産が国の方針なので、生産現場では国の需要見込みに基づいて転作田や米の作付け面積を決めているため、その数が狂えばどうしようもありません。
どこかで流通の目詰まりが起こっているはず等と、あらぬ方向へ目を向かせても解決はしないのです。国が需要見込みの精度を高めるしかないのです。
今回の米不足に懲りて政府は米の増産に舵をきると言っています。大きな方向としては間違いはないでしょう。
問題は、適正な米の価格がどうなるかと言う点です。
需給が安定すれば、その時点の市場価格が適正な価格帯になるのでしょうが、しばらくは今回の米不足の混乱の影響が残るため、米生産の中核を担う法人や集落営農組織は生産拡大に対して慎重な姿勢を崩さないでしょう。
つまり簡単には米の増産に向かわないだろうと思われます。
また、今回の米騒動でわかったのは、米の流通に運送業界や
資材メーカーなどの異業種が独自のネットとワークを活かして
参入していて、米の流通実態を把握することが難しくなっている点があります。
国は、食糧管理法の廃止から始めて米の生産や流通からできるだけ手を引いて自由な生産と流通にシフトしてきただけに、米不足に陥ったときの国の関与のあり方を考えなければならないでしょう。
また、今回は備蓄米を切り崩して高騰するコメ価格の沈静化を図ろうとしましたが、本当はより早い段階でミニマムアクセスの輸入米77万dを活用しておこなうべきでしょう。
そのためにも、米の需要見込みの算出には注意が必要です。
昨年来、お米の値段が高騰を続け『卸が流通を止めて値をあげているのではないか?』 といったマスコミの論調が目立ちます。が、果たして本当なのでしょうか。
実際は、卸においても小売においてもお米が無くて困っていいるのではないでしょうか。
じつは国内のお米の生産量は720万dほど。
もっぱら10月に収穫されて翌年の9月まで低温貯蔵しながら食べつないでいます。
その間、米の消費量は月平均でいうとおよそ60万dです。貯蔵は玄米や籾でおこなうので、それを精米して袋詰めして小売店に並べるのは毎月60万dが国内の設備面からは精一杯になっています。
さて、この720万dが需要に見合った妥当な数量であったかどうかを見るのは、6月末の市中在庫量で判断できます。
6月末なら残りの7、8、9月分の消費に加え、10月の新米切り替えまでのつなぎを加えた200万dが適正な在庫水準ということになります。
これまで毎年の6月末在庫は170万dから200万dで推移してきています。ところが一昨年の6月末は153万dまで下がっています。どうも食べすぎて足りない状態になっているのです。
この時に米不足を感じていたのは一部の卸だけでした。およそ40万dほどの不足が見込まれましたが、10月分のつなぎ在庫を先食いすることで米不足の顕在化は抑えられました。
ですが、その先食いした不足分はつぎの年、すなわち昨年に持ち越されているので米不足が表面化するのは時間の問題でした。
案の定、昨年6月の市中在庫は115 万dにまで減り、前年同期にくらべて40万dほど足りません。つまり一昨年に比べて80万dが足りないのです。
さすがに、この段階に来ると米不足は流通関係者に共有されて一斉に産地を訪れ米の確保に走ったのです。
のちに判明したところによると、長年減り続けてきた米の消費が反転して14万dの需要増になっていたほか、国の需要見込みも24万d低めに設定していたのです。
つまり、40万dの米不足は国の需要の見込みが違っていたことによるものでした。その見込み違いの原因の一つにはインバウンドによる米の需要の伸びがありました。
ただ問題は、国の需要見込みが単なる予測で終わるのではなく、その予測をもとに生産現場では米生産量が決まることです。
需要に応じた米の生産が国の方針なので、生産現場では国の需要見込みに基づいて転作田や米の作付け面積を決めているため、その数が狂えばどうしようもありません。
どこかで流通の目詰まりが起こっているはず等と、あらぬ方向へ目を向かせても解決はしないのです。国が需要見込みの精度を高めるしかないのです。
今回の米不足に懲りて政府は米の増産に舵をきると言っています。大きな方向としては間違いはないでしょう。
問題は、適正な米の価格がどうなるかと言う点です。
需給が安定すれば、その時点の市場価格が適正な価格帯になるのでしょうが、しばらくは今回の米不足の混乱の影響が残るため、米生産の中核を担う法人や集落営農組織は生産拡大に対して慎重な姿勢を崩さないでしょう。
つまり簡単には米の増産に向かわないだろうと思われます。
また、今回の米騒動でわかったのは、米の流通に運送業界や
資材メーカーなどの異業種が独自のネットとワークを活かして
参入していて、米の流通実態を把握することが難しくなっている点があります。
国は、食糧管理法の廃止から始めて米の生産や流通からできるだけ手を引いて自由な生産と流通にシフトしてきただけに、米不足に陥ったときの国の関与のあり方を考えなければならないでしょう。
また、今回は備蓄米を切り崩して高騰するコメ価格の沈静化を図ろうとしましたが、本当はより早い段階でミニマムアクセスの輸入米77万dを活用しておこなうべきでしょう。
そのためにも、米の需要見込みの算出には注意が必要です。

