春告鳥
春告鳥(はるつげどり)とは、読んで字のごとく春の到来をつげる鳥のことです。
通常、それはウグイス(鶯)をさしています。
梅の花が咲き始める旧暦の正月ごろからホーホケキョと鳴き始めるので、春を告げる鳥として古来、和歌にも詠まれています。
俗に『梅にウグイス』と言われて梅の木に止まっているように描かれますが、あれはウグイスではありません。
メジロを描いているのです。
メジロはちょうど鶯餅(うぐいすもち)のように鮮やかな黄緑色をしていて目の周りには白いアイラインがあります。
スズメより少し小型で人をあまり怖がらず、庭先の山茶花や椿、梅の花にやってきてはキュルキュルキュルと鳴いています。
我が家では、切ったミカンを枝に挿しておくとめざとく見つけてやってくるので、春告鳥はメジロになっています。
これに対いて、ウグイスはスズメくらいの大きさで暗い緑褐色の地味な姿をしていて人目につかないよう雑木林に隠れています。
山道を歩いているとその先々でホーホケッキョウと澄んだ歌声を聞かせてくれますが、姿を見せることはありません。
鳴き声はオスが縄張りを主張し、近づく侵入者に警告するためのもの。
歌声に聞き惚れていると、つぎにケキョケキョケキョとせわしない鳴き方にかわり『早く立ち去れ』と言われてしまいます。
鳥の声の大きさはおおむね体の大きさに比例しています。小さい鳥は短く小刻みに鳴き、体が大きくなるほど大きな声で長く鳴いています。
たとえば、セグロカモメのオスはこちらの姿を見つけるとクィーンクァンクァンクァーンと長く響くような声を出しながら飛んできます。
するとほかのセグロカモメが隣の漁港や沖の一文字から四羽,五羽とやってきます。その姿はまるでグライダーが編隊を組んで向かってくるようで壮観です。
そのあいだもオスはずっと鳴き続け、よくもまあ息が続くものだと感心してしまいます。
鳥には、気管の奥に鳴管(めいかん)という膜のある器官があって、そこを通る空気が膜を振動させて音がうまれ、気管で共鳴して鳴き声になるといわれます。
ちょうど、木管楽器のリードが鳴管にあたりキーのついた長い管体が気管にあたります。
セグロカモメが鳴くときに首を長く伸ばすのは、少しでも管体を長くして音をより響かせるためかもしれません。
また、鳥の身体には空気を溜めこむ気嚢がいくつもあって、肺とは別に気管から空気が入り、その先は肺に通じています。
息を吸うと気管から直接肺に空気が入り、吐くと気嚢の空気も肺を通って一緒に出ていくため、吸っても吐いても肺は新鮮な空気を吸えるという便利な仕組みになっています。
セグロカモメが息づきなしで長く鳴き続けられるのは、そのためかもしれません。
ちなみに、鳥類は現存する唯一の恐竜といわれていますが、恐竜の化石からこの鳴管が見つかっています。
ティラノザウルスのような恐竜が鳥のように鳴いていたわけですが、あの大きな巨体で鳴くのでおそらく映画にでてくるゴジラのギャオーという鳴き声に近いのではないかと思ったりします。

ウグイス 宝、法華経と鳴くありがたい鳥です。ホ―は息を吸う時、ホケキョは
吐くときの声。小さいときに聞き覚えた鳴き方を大人になって練習して
鳴くようになります。 下手なお手本を聞くと下手な鳴き方になり、上手
な手本なら上手に鳴くようになります。

メジロ キュルキュルキュルと鳴いたり、 ヒヨドリを追い立てるときにはチッ
チッチと短く鳴きます。

ヒヨドリ キーキー―とつんざく様に鋭い鳴き方をします。メジロを追い出
してミカンを食べています。ミカン農家からは害鳥として嫌われて
いますが、頭の良い鳥です。

イソヒヨドリ 普段は海岸にいますが、ときに我が家のアンテナに止まって
美しい鳴き声を長々と披露してくれます。日本三鳴鳥は、コマドリ、
オオルリ、ウグイスですが、このイソヒヨドリも負けず劣らず美声
です。


セグロカモメ カラスやトンビを威嚇して追い払うことのできる強いカモメ
の種類です。海面にいる小魚の群れを飛び込んではつかまえ
ます。
逆風でも順風でも風をつかまえて羽ばたかずに飛ぶことが
できるうえ、宙返りや急降下も得意です。荒れた天気のときに
は海岸に打ち上げられた魚を探して飛んでいます