折々の記 73

秋分・水始涸(みずはじめてかる)


 
    田植えをしたあとに、田んぼから水を抜くのは 7月の中干しと10月上旬の2回です。後者は水始涸(田の水を干し始める72候)とあるように 彼岸花の咲くころを目安になります。

  水を抜くのは土を乾かし収穫作業をしやすくするためですが、おコメの水分を減らすためでもあります。収穫直後のおコメの水分率は30%ほどあって、そのままにしておくと3日くらいで品質が落ちてしまいます。かつては稲木にかけて乾燥させましたが、今は収穫するとただちにライスセンターで送風乾燥するので水分率は一気に14%までさがります。水分さえ下げておけば室温に一と月ほど置いても味に変化はありません。ただ、通常はおいしさを長持ちさせるために低温で貯蔵しています。
   我が家では農家が 30`入りの玄米を持ってきてくれるので、コイン精米機で白米にしています。白米にすると胚芽やヌカがとれてデンプンだけになります。デンプンはアミロースとアミロペクチンという二つの成分からなり、その割合によっておコメの食感が異なります。

    アミロペクチンの多い品種はふっくらと炊き上がってもっちりとした食感でコンビニのおにぎりのように冷めてもおいしく食べられます。 一方、アミロースの多い品種は粘りが少なく、少し硬めに炊きあがるのでピラフやチャーハンなどにむいているほか、水分を吸いにくいので寿司や牛丼などにも適しています。お好みに合わせて品種銘柄を選ぶとよいでしょう。アミロペクチンが多いのは、コシヒカリ、あきたこまち、ヒノヒカリ、つや姫などがあり、アミロースが多いのはササニシキ、ほしのゆめ、ななつぼし、きらら397などがあります。

   そしておコメをおいしく食べるには、コメ粒が均一に炊けるようにします。おコメの水洗いは手早く2回で終えています。何度も洗うとコメ粒が割れてまずくなります。それに少し置いておコメに水を吸わせて炊き始めます。胚芽がとれた跡などから水が中心にむけてゆっくりと浸透するため外と中が均一に炊きあがります。そうでないと中はうまく炊けても外側は熱が入りすぎてしまいます。 炊き上がったら、しゃもじで切るようにまぜて空気を含ませて蒸らしましょう。

  食欲の秋です。とれたての新米をおいしくいただきましょう。