折々の記 70

生き物とのかかわり方

   夕方に歩いていたら道端でツバメのヒナが鳴いているのを見つけました。 おそらく巣から落ちたのでしょうが、近くに巣らしきものは見当たりません。なぜこんなところにヒナがいるのか不思議でしたが、ヒナのそばには小さな沢ガニが保護者のように寄り添っています。でもこのあたりには猫やカラスが多いので、すぐに見つかって食べられてしまうでしょう。

   巣から落ちたヒナを飼うのは手間がかかるうえ、うまくいかない場合が多いのです。でも放っておくわけにもいかず、保護してみてダメならそれはそれでやむを得ない、そう思って連れて帰りました。
  最初は、とってきたバッタを美味しそうに食べていましたが、翌日の夕方に急に亡くなってしまいました。残念でした。

    最近、思うのですが、自然界の生き物にむやみに関ってはいけないという風潮が強いように思います。子供のころは虫や動物が身近にいたので遊びながら関わっていました。
  ですが最近の子供は、知識が豊富でも実際にさわったり飼ったりしていないので、大人になっても関わり方がわからないようです。
  わからないから関わらずに遠ざけようとするのでしょう。

   自然界にいれば、ほかの生き物との関わりを無くすことはできません。
  積極的に関わりを持とうとしても相手のあることなので思ったようにいきません。
  たとえば、庭に巣箱を作っても鳥にとって都合がよければ受け入れるでしょうし、問題があると思えば無視するでしょう。
  ツバメは人が住んでいる家をえらんで巣をつくります。これは人がいれば蛇やカラスなどの天敵が来ないので安心して巣作りができるのです。
  だから毎年、同じ巣を修繕しながら使っているのですが、万一、カラスにヒナがとられたりすると、その巣は二度と使いません。これはツバメの意思でもあります。

  人が生き物と関りを持とうと思えば、彼らの行動をよく観察してなぜそうした行動をとるのか理解することです。そうすれば、思ってもみなかった一面を彼らは見せてくれるでしょう。このことは、子供のころに経験して身につけておくのがよいと思います。 

  今回、残念ながら保護したヒナは亡くなりましたが、妻が「お空を自由に飛んでください」と墓碑にしるして埋葬していました。短いながらもこれも一つの関り方です。