蚕と絹のあれこれ 38

夏休みの自由研究・ハンカチの草木染

  毎年のように夏休みは親子で宿題に汗することになりますが、とりわけ悩ましいのが自由研究です。 親の能力を試すようでもあり、それ用の本も売り出されて人気です。そこで簡単にできるうえ、まずまずの作品が得られる『ハンカチの草木染』をご紹介します。

   草木染に使用する道具類は百円ショップで揃えます。ステンレス製のボウル(1こ)、プラスティックの食器あらい容器(1こ)、三角ロート(1こ)と木綿のハンカチ(2まい)です。ほかに家にある古いナベ(1こ)、空いたペットボトル(2本)、キッチンタオル、おたま、電子ばかり、アイロンと輪ゴム少々あればよいでしょう。

   染料は身近にあるコーヒー豆の粉(50g)や紅茶の葉(40g)、お茶の葉(60g)、玉ねぎの皮(8ヶ分)など、どれを使っても大丈夫です。色をしっかり固定するための媒染剤はミョウバン(20g)や木綿の染まりをよくする豆乳(100cc)は食料品コーナーで用意してください。これだけ用意できれば、できたのも同じです。

  染色の前処理として木綿のハンカチ2枚を20分ほど煮沸して糊を取り除き、ついで豆乳100ccを水で3倍に薄めた液に一時間ほど浸したあと干しておきます。乾いたら絞り模様をつくるためにハンカチの3〜4か所をつまんで強くねじり輪ゴムでしっかりと固定します。ここまでは前日に行っておくとあとは簡単です。
    
豆乳を3倍に薄めた液にハンカチを浸します  ハンカチを絞り、輪ゴムで固定します
   染色液は、染料(コーヒー豆の粉など)を水2gにとかし火にかけて20分ほど煮だします。キッチンペーパーをしいた三角ロートをペットボトルに差し込んでおき、煮だした液をおたまですくってロートに移してろ過します。
写真は染料に槐(えんじゅ)と蘇芳(すおう)を使った時のもので、玉ねぎの皮やお茶の葉、コーヒー豆の粉、紅茶の葉も同じ要領で行います
  
     槐(えんじゅ)を50gはかります。       槐50gを2gの水に入れます。

  
    火にかけて20分ほど煮だします。       煮だした槐の液をろ過します。
染料に蘇芳を使っています
  
      蘇芳50gをナベにいれます。         水2gを加えて火にかけます。

 20分ほど煮だした液をろ過します。
   ろ過した染色液はボウルにうつしてミョウバン10gを加えて溶かします。そしてボウルを水を入れたナベに浮かべ湯煎します。ついでハンカチを軽く湯にとおし、さらに湯気がでるくらいに加熱した染色液に浸します。染色ムラができないように割りばしなどで染色液のなかで20分ほど動かします。時間がきたらハンカチを取り出して水洗いし余分な染料を落としたら輪ゴムをはずします。
    
    槐の染色液にハンカチを浸します。     蘇芳の染色液にハンカチを浸します。
   これで染色は終わりです。ハンカチは乾かしたのちアイロンをかけましょう。しぼり模様のあるハンカチの完成です。染色液づくりから染めあがりまではおよそ1時間ほどでしょう。
    
 染色したハンカチを干して乾かします。       乾いたら軽くアイロンをかけます。
  私は絹の染色に使った残りの染料を使いました。染料はインターネットで京都下京区にある田中直染料店で買っています。黄色系の染料は刈安(かりやす)、槐(えんじゅ)、黄檗(きはだ)などがあり、赤系のものにはインドアカネや蘇芳(すおう)があります。 青系は藍(あい)を使いますが、手元に藍の生葉がないときは天然藍濃縮液を使います。時間に余裕があれば、これらを使ってさまざまな色に染めてみるのもよいでしょう。

  染料は昔から生薬として使われているので手についても問題ありません。ただ藍だけは色がとれにくいのでゴム手袋をした方がよいでしょう。