芒種 ぼうしゅ
6月6日からは、二十四節気の芒種(ぼうしゅ)にはいります。芒(ぼう)とはノギのことで、ノギはイネやムギなどの粒についている細長い突起をさしてします。芒(ノギ)は俗にヒゲともよばれ、熟した実が風にのって遠くへ飛ぶための装置です。そして野生種に近いほどそれは長くなります。
芒種はイネの種もしくは苗を植えることであり、田植えをさしています。通常、立春から数えて127日目に入梅するので、その前後の2週間が田植えの適期となり芒種とよんでいます。昔は暦にすることで田植えが遅れないようにしていたのです。
むかしは若い娘さんたちがヨモギやショウブで屋根を葺(ふ)いた家に一夜とまって身を清め、翌日、早乙女(さおとめ)姿になってイネの苗を植えました。ヨモギとショウブはその香りが邪気を払って身が清められると信じられていたようで、田の神様から授かった苗を早乙女が神にかわって植えたということです。
今では田植機であっという間に終わってしまいますが、新嘗祭(にいなめさい)に献穀米(けんこくまい)を皇室に献上する農家に選ばれた場合には、献穀田(けんこくでん)を決めて神事を行い、早乙女たちが田植えをしています。
我が家では昨年の10月に農家から30`入りの玄米を10袋買いました。300キロもあれば大丈夫と思いましたが、田植えが始まるこの時期にすでに8袋、240キロも食べていたのです。あと 4ヶ月もあるのに残り2袋しかありません。
思えば毎年同じことを繰りかえしています。足りなくなればスーパーで買えばいいのですが、以前に買って食べたところ炊飯器が壊れたかと思ったくらいまずかったのです。それに最近は妙に種類が多くて選ぶのに迷います。
イネの品種にはコシヒカリをはじめ 600種ほどあり、それぞれに名前がついています。名前のつけ方には暗黙のルールがあって、国の品種はカタカナをつかい、都道府県や企業、個人の品種はひらがなや漢字を使います。
コシヒカリやヒノヒカリは国の品種で、あきたこまちや夢つくしは県の品種です。いまではそんな約束事はなくなり、平仮名やカタカナ、数字を組み合わせた 『つがるロマン』 や 『きらら397』 といった名前の品種がうまれています。
さらには『てんこもり(富山)、くまさんの力(熊本)、まっしぐら(青森)、あっぱれむさし(岡山)、めんこいな(秋田)…』といったユニークな名前まであります。多くはコシヒカリの流れをくんでいるようなので、味に問題はないでしょう。
であれば、足りなくなれば「ためしに買ってみてもいいかな」と思い直しているところです。