二月の柑橘
寒さの厳しい2月になりました。
それでも4日の立春を迎えると、春が近づいたような気分になって『梅花(ばいか)ふくいくたり』 の言葉のように梅の花も咲き始めます。
2月といえば、旬を迎える柑橘の種類が最も多い月です。
どの種類も旬の時期が短いので、次の機会に買おうと思っているといつの間にか姿を消してしまいます。
2月上旬からは『はるみ』が旬を迎え、中旬には『はるか』と『天草(あまくさ)』がきて、下旬には『媛小春(ひめこはる)』、『デコポン』、『甘平(かんぺい)』、『伊予柑(いよかん)』が出てきます。
なお、3月中旬には『せとか』がでてきて、4月上旬には『清見(きよみ)』が登場します。
そこで、これらの品種について少しご紹介してみます。
なお、柑橘の味の目安は糖度と酸度であらわしています。糖度は12度以上、糖と酸の比率が12以上ならとても甘く感じるでしょう。
はるみのカット果実
『はるみ』は清見とポンカンの交配で生まれています。
糖度は13、糖酸比は16です。
ポンカン特有の濃厚な甘味とオレンジの風味が特徴です。果実は赤みを帯びたオレンジ色をしていて200c前後です。 隔年結果になりやすいので栽培が難しい品種です。12月下旬に収穫して一と月ほど貯蔵したのち酸が低くなったものを出荷しています。
はるかのカット果実
『はるか』は日向夏と甘夏が自然交雑してできた品種です。
果実の大きさは『はるみ』と同じくらいです。果皮の色はレモンイエロー。種はありますが気になるほどではありません。
糖度は12、糖酸比は27。さわやかな甘みが好まれています。包丁でカットして食べるのがよいでしょう。
天草のカット果実
『天草』は清見と温州みかんの交配種にページを交配しています。
果実の大きさは『はるみ』や『はるか』と同じくらいです。果皮は赤みのあるオレンジ色。果皮は薄いためカットして食べるのがよいでしょう。 オレンジの風味が強く、みかんの甘さとうまくマッチしています。果肉は軟らかくジューシーです。
媛小春のカット果実
『媛小春』は、清見と黄金柑(おうごんかん)の交配でうまれた品種です。果実の大きさは120グラム。温州ミカンとおなじくらいです。
糖度は14、糖酸比は14です。
ブンタンの爽やかな甘みとオレンジの風味、みかんのコクのある甘さがミックスしています。果皮は黄色く薄いです。
デコポンのカット果実
『デコポン』は商標登録された名前で品種名は不知火(しらぬい)です
清見とポンカンの交配で生まれました。
デコポンの名前で販売できるのは糖度が13度以上酸1%以下と決められています。でも多くは、糖度15、糖酸比17くらいはあるでしょう。
果実は240グラムとソフトボールくらいの大きさです。皮はゴツゴツして厚いのですが意外にむくのは簡単です。果実のてっぺんがポンと飛び出している姿が特徴です。
甘平のカット果実
『甘平(かんぺい)』は清見とトロビタオレンジの交配でうまれた品種です。糖度は15、糖酸比は18です。
濃厚な甘みとオレンジの風味が特徴です。果実は220グラムと少し大きめです。
果実の甘さと扁平な形から甘平と名づけられました。温州みかんのように皮はむきやすいです。
伊予柑のカット果実
『伊予柑』は、海紅柑(かいこうかん)とダンシーオレンジの自然交雑によってできた品種です。
糖度は11、糖酸比は10くらい。
甘さはありますが酸味もあって根強い人気があります。皮をむくと柑橘系の芳醇な香りに包まれます。果肉が柔らかく果汁も豊富なので、食べる時にはタオルがあった方がよいでしょう。
す。
せとかのカット果実
ハウスで栽培された『せとか』は2月末から姿をみせます。
清見とアンコールの交配種にマーコットを交配したもの。アメリカのみかんとオレンジの交配種に日本の温州みかんを交配したようなものです。
糖度は14、糖酸比は17です。みかんの甘さとパンチの効いたオレンジの風味がミックスしています。春の到来にふさわしいフルーティーな逸品です。
かつて中晩柑といえば、甘夏や八朔、河内晩柑などのように春から初夏に食べられる柑橘でした。冬の寒さを乗り越えるために皮が厚くなるのも特徴です。
ところが今では、甘さが強く果汁も豊富で皮の薄いものが多く登場しています。皮が薄いだけに長く貯蔵ができないので旬の時期は短いですが、それぞれの果実の味を楽しんでみてください。