折々の記 45

秋の節気

  春夏秋冬のはじまりには立春や立夏、立秋、立冬というように『立』がついて始まりをあらわしています。このうち秋は立秋にはじまり処暑(しょしょ)、白露、秋分、寒露(かんろ)、霜降(そうこう)といった節気がつづきます。

   立秋(8月8日から23日)はお盆をはさむためお坊さんが汗をふきふき新盆の家をまわる姿をみかけます。処暑(8月23日〜9月6日)になると夕方には涼しくなって虫の声も聞こえはじめます。白露(はくろ9月7日〜21日)にはツバメも南へ去って彼岸花があぜ道を赤く染め、秋分(9月27日〜10月7日)になると釣瓶落としのように日が落ちて月の光が冴えわたります。寒露(10月8日〜22日)になると菊の花が咲きはじめ、北の国から冬鳥たちがもどってきます。そして霜降(10月23日〜11月6日)になると山は紅葉で映えるようになり霜がおりはじめます。

   白露の43候に草露白(くさつゆしろし 9月7日〜11日)があります。朝夕の温度差が大きくなって空気中の水分が朝露になり朝日にあたって白く輝きます。
  このころに、キンモクセイの花が咲きはじめ道を歩いていると甘い香りが漂ってきます。またイチゴの花芽が分化するので苗を本圃へ植えつけます。イチゴは5月になると親株からランナーという繁殖枝が伸びてきて、ランナーの節々に幼苗ができるのでそれらをポットに受けて苗をつくります。苗は7月下旬にランナーから切り離し9月上旬になると本圃へ植えつけます。11月には花が咲きはじめ12月になると果実が採れはじめます。
  
  6月頃になるとイチゴの株からランナー(繁殖枝)が伸びしてきます

      イチゴのランナーが伸長して幼苗が節々にできます

               イチゴの栽培風景
  
     イチゴの花と幼果(後ろの緑色の果実)、成熟果(赤い果実)
   処暑の42候に禾乃登(こくものすなわちみのる 9月2日〜6日)があります。 『こくもの』とはイネのこと。禾は『のぎ』と読み、籾から細長くのびた突起のことです。もともと米や麦などは種子を風にのせて遠くへ飛ばすため禾をつけています。野生のイネは禾が長く、栽培用は種子を飛ばす必要がないので短くなっています。
          二条大麦の麦粒についている禾(のぎ)
  九月上旬にコメが実っているのは極早生の『コシヒカリ』や『あきたこまち』です。中生の『ヒノヒカリ』や『媛の凜』は十月上旬になるでしょう。
  四柱推命では一粒のおコメが何万倍にも増える日として一粒万倍の吉日を定めています。その日は『何事も始めるに良し』とか『わずかな元手で大きな利益がえられる日』とか言われます。おコメは本当に一粒から何万倍にもなるのでしょうか。
  おコメ一粒からできる苗は一本です。田植えでは二本の苗を一緒に植えてそれが育って一株になります。株には穂が30本ほどつき一穂にはおよそ70粒のおコメができます。つまり株あたり2100粒のおコメがとれるため、もとの一粒からでは1000粒に増えています。正しくは一粒千倍でした。

              あと半月ほどで収穫を迎えます